「日本がこれほどまでに自浄作用を失った国になったのは、一つの場所での永住、一種類の業界での従事など、『継続』があるからです」
「もちろん『継続』は、日本の技術産業を支えたと言っても過言ではありません。しかし一方で、簡単にその業態に参入出来ないことや、寡占の黙認など問題点も多い」
「高度成長期時代は、人々はより良い暮らしを求め都会に働きに出ました。都会には各地方の文化や考えが渾然一体となり新たな方向性を作ることも出来た。しかし、田中角栄の頃から、地方優遇が始まり、経済効率の悪い場所にバラマキを行ったことで財政は悪化していったのです。またそうした政策により人々が都会に出ることが減っていき、それぞれの地元で根を生やすようになりました」
「生やされた根から育った木の蜜を吸おうと多くの人間が集まれば、やがてその木は枯れてしまいます。大抵の場合は主がいて、それが吸い尽くすのでしょうが」
「資本主義ならばとにかく経済を回さなければならない。しかし根強く留まる木々はそうしたことを許さないでしょう。新規参入を悉く弾く世界では尻すぼみも仕方の無いことなのです」
「また、経済的弱者の行き場を無くしそれを保護することで、「自分は保護無しでは生きられない」という弱者の取り込みを行っているのです」
byガオグライ・ワンカップミノルタ氏著『続きはまたあした』より抜粋