幸福素材。

注:後述する空の境界二次創作は空の境界本編及び8月6日分を読んでから読むとより理解できます。


「ふむ。やはり抑止力は働いたか」
黒幹幹也からの知らせを聞いた蒼崎橙子は、吸っていたタバコを一度ふかしてそういった。
「一つ疑問なんですけど」
「何だ」
ハッピー☆マテリアルは結局何だったんでしょうか」
そういう視点もあるか、と橙子はうなずいた。
ハッピー☆マテリアルは一月から最終話ヴァージョンまですべてがオリコンウィークリーランキングベスト10以内に入った。ハピマテははじめこそ九位で、次には十位でギリギリだったのに、それ以降はどんどん順位を上げました。最高位は三位。オリコンで三位なんて純粋なアニソンでは入り込めない領域【テリトリー】だったんです」
「そう。故に踏み込んではいけない領域であることも確かだ。だがな、こういう考えもある。レコード会社はな、減りつつある売り上げを懸念して、タイアップを念頭に置く。しかしアーティストはごまんといる。CMやドラマのタイアップだけでは追いつかない。そこで考えたのがアニメのタイアップだ。わかるだろう?ジャンプやマガジン、サンデーと言った週刊マンガの主題歌を有名アーティストが歌っているのは昨今の傾向だろう。特に『犬夜叉』なんて完全にエイベックスのバックがあった。
その動きは間違いではなかったが、アニソン業界を盛り立てる一因になってしまったんだ。最近はベスト10以内こそハピマテが踏み込んだ部分だが、二十位やそこらになればアニソンがバンバン入っている。音楽業界は自身の首を占めてしまったんだ」
「でも今週はSee-Sawが四位ですよ。これはどうなんでしょう」
「そんなこと簡単だ。アニメに対する考えの違いだよ。ガンダムだけを見ることが一般の人からしたら早々咎められるものか?違うだろう。だからそのアニメの主題歌はごく普通の曲と何ら変わらないというお抱えがあったからだ。一般の認識からは正直微妙な感覚かもしれないがな、See-Sawに関しては。
話を戻そう。結局のところ、ハピマテがベスト10以内に入ったという事実は変わらない。情報を操作するなら一月期がやってしまった時点で講ずるべきなんだ。しかし遅かった。
もしくは勢いを止められなかったのだろうかな。See-Sawが『あんなに一緒だったのに』や林原めぐみオリコン十位以内の領域に入ったのが大元でいえば原因だろう。そこからある意味では悪夢の始まりだったろう。ネットでの運動もあって三位まで登りつめた。だがそこが限界だったんだ。
今回の順位『九位』も大切なことだ。これがまた三位や四位なら話が別なんだ。その順位だったら、後発のアニソンのための穴は開きっ放しで、第二、第三のハピマテが生まれることになるだろう。しかし霊長の抑止力は発揮された。ハピマテに起きた抑止力の説明は前したからわかるな?最終的に九位という順位は、何事もなかったかのように一連のハピマテ騒動を終わらせるための順位だったんだ。十位以下では操作があったのではないかという疑いがかかる。しかし高い順位のままではハピマテの流れは止められない。今回の九位は抑止力による仕掛けだったんだ。一般の人には何もなかったようにして、ネット層も含めたオタクを抑えるためのな」
喋りつかれた橙子は机に置いてあったコーヒーを飲み干す。
「本当に、もうこんなことは起きませんか?」
ハピマテは一ヶ月に一枚計七枚という音楽業界にはあり得なかった事をしたこともあってオリコン上位への壁をぶち破ったんだ。さらにはアニメの出来が恐ろしかったこともあるだろうな」
「出来が悪かったから売れたんですか?」
「正確に言えば、そこから話題が生まれたことが要因だ。原作が連載中だからこうなるのはわかるが、それにしても、だ。終わり方なんてもっと恐ろしかったしな。これがそれなりの出来だったらネットにも広がらず売り上げも伸びずに終わっただろう。偶然が呼んでしまった出来事が、霊長の抑止力まで影響を及ぼすのだからたまったもんじゃない」
こう言う事は御免被りたいと、心から思った橙子だった。


さすがに文脈めちゃくちゃになった。
まあアニソンがこんなことになるのは後にも先にもないだろうなというが自分の意見です。