師道者。

前回と同。


「やたら厳格だったり、抑圧しすぎると、鬱屈したり二面性のある子供になる。かと言って放任すれば利己的な性格になる。このあたりはなんとなくわかりますが、実際の子育てになるとそこまで考える余裕は無い。ただ、それが出来る親の子供はすべからく(あえて誤用)人から好かれているでしょう」
「最近は経済面の事情から一人っ子が増えては来ているのですが、一人っ子の親御さんは出来ればそこまで考えて欲しい。ただでさえこの現代。兄弟がいる家庭より、人とのふれあいは相対的に減るのですから。特に『親を見れば子がわかる』のは、子育てを一人しかしていないから、ダイレクトに子供に現れるのです」
「とは言え、兄弟姉妹がうまくいくかと問われても、全てイエスとは答えられません。というかよく言われる『末っ子は我侭』というのはちゃんと説明がつくことですから」
「上の子に『下の子の面倒を見なさい』と言うと、そこに自立心が芽生え、状況によっては『自分は我侭言わずに頑張る』と、やや自身を抑圧してしまうのです。多少我侭がきく環境であってもそうでなくても、長男長女がしっかりしているように見えるのはそういった面があるのです(大家族モノでも大体はしっかりしてますよね)。逆に下の子が件のように言われるのは、両親に加え上の子まで面倒を見、なかなか自立した環境に身を置けないからなんです。この関係の兄弟姉妹が見られるのは、論理的に考えれば有り得る話なのです」
「あとは単純に、きっちり一から十、とまでは行かなくても八くらいまで躾けるのはつらいから、下の子には五、四くらいでいいやという話もあります。これが面倒なのは、上の子が『何で自分のときはこうだったのに』と考えてしまうことです。こうなると上の子も大変になります」