水玉愛され模様。

有楽彰展氏について。
東京アンダーグラウンド(以下TUG)の評価はあまり芳しくない。休載を経て絵柄が安定せず、個人的にも休載前あたりは神がかった絵柄だった、個人的には。最後半は現在連載中のマンガにほぼ近いが、それも含めてTUGが良い評価を受けないのだろう。
絵柄が安定しないことの要因は二つほど考えられる。
一つはまだ発展途上で伸び盛りであること。同人等を含めてマンガを描いた歴が少なければ、どこからでもうまくなる要素があるため、画力向上=絵柄の不安定、と取れなくも無い。
二つ目は、精神面の不安定。漫画家は酷な仕事なのは、詳しくない人でもイメージが湧くだろう。それによるストレス、あとお家騒動も精神にきたのではないか。アニメ化の時期とお家騒動の時期は重なり、移籍しようにもアニメ化の恩義やら、もしくは引止めがあったか。当時の引き抜きの面子を見ると、主力で残ったのはTUGとスパイラルくらいでスパイラルは偶然にもTUGとほぼ同じ状況下(アニメの時期が2002年)である。実はこのあたりでお家騒動による影響も考えられる事実として、スパイラルのガンガン掲載にて、下書きの状態で売り出されていた(単行本では修正される)。下書き状態での掲載はこれ一度きりであり何かの事情があったと考えても差し支えない。ほぼこの時期に、休載明けの有楽氏の絵柄不安定→安定となるのだ。
有楽氏は間違いなく二つ目だろう。アニメ化によって移籍したくても出来ず(する気があったかはわかりませんが。ですが休載時の展開はその時点で打ち切り→移籍という流れでもおかしくないはず。他の移籍作品は同じような打ち切り展開だった)、モチベーションの低下、自分の好きにやろうと絵柄の模索、現在に至る。


あとは、実はアシスタントがいないとかないでしょうか。トーン使用率はガンガン作者の中でも土塚先生と張るくらい少ないのです。土塚先生はともかく、有楽氏は「手抜き」と揶揄されることもあります。ですがもし、アシ無しでやっているのであれば、かなりのレヴェルだと言えます。TUGの作品性には合わなくとも、今の和風テイストの作品にはぴったりではないでしょうか。独自の味は出ていると思います。



別話。
水野氏にしても有楽氏にしても、ちょっとした編集部への反抗だったのではないでしょうか。当時にてトップを張る二作品がああいう反抗をされれば、売り上げが落ちますからね。これにて、ハガレンが大ヒットするまでガンガンは暗黒時代をさまようわけです。