ここから巻き返せたら凄いと思う。

最近になって空の境界読んだので、ネタ。鉄拳風に。
『こんな空の境界は、式に切り刻まれろ』


蒼崎橙子はタバコ一本を取り出して黒桐幹也に向き直った。
「で、どうしたんだ」
「はい。調べたんですけどね。ハッピー☆マテリアル最終版のデイリーオリコンチャートが八位だったんです」
そうか、とだけ返して橙子はタバコに火をつける。
ガンダムSEED DESTINYのエンディングテーマのSee-Sawでも四位、ハピマテの前回はデイリーでも三位まで行きましたから、これは由々しき事態です」
「確かにハピマテに関しては初動売り上げでほとんど決まるからこのまま行けば順当に八位、最悪この状況なら十位以内に入らないことすらありえるか。
しかしあれだな、もちろんこうなった原因は多々あるだろう。圧力や枚数操作なんて金で何とかなるからな。今回は値段が安くないこともあるだろうが。だが黒桐、それに何の意味があると思う?」
「・・・そうですね。日本の曲というのは洋楽に比べたら幅は狭いですが世界にも売られている。そんな中でアニソンが初動でもランキングに食い込むのは体(てい)としてあっちゃいけないからじゃないですか?」
「間違いではないな、黒桐らしい答えだ。だがなそれだったら五位以内、いや十位以内に入ったところで策を講じるだろう。See-Sawの『あんなに一緒だったのに』も十位以内に入ったがアレはもとがガンダムだからな、まだいい。だがハピマテはパッケージもアニメキャラで、歌い手も出演キャラが唄っている。日本はアニメ文化と言われているがこれは異例の事態だ。アニメ文化といわれていてもそれは多岐に分かれており、こと魔法先生ネギま!オタク文化の片鱗、日本においてオタクというのは毛嫌いされることはわかるな?彼らが何故嫌われるかというのは・・・そこはいいな。単純に後ろめたいということにしよう。その後ろめたさが体としては嫌なところだろう。
無論それに関わることだが、人にもよるだろうが、二次元に傾倒することは、現世界を否定することに等しい。一方でいわゆるJ-POP。確かに今はレンタルやインターネットの音楽配信でCD売り上げは確実に減っている。九十年代はミリオンもダブルミリオンも恐ろしいほど出た。だがな、黒桐。レンタルや音楽配信を含めればJ-POPを聞いている人間は多いと思わないか?」
幹也はそう言われればそうですね、と納得げな顔をする。
「しかし、そうした流れがアニソンの露出を増やしてしまったんだ。J-POPの売り上げが下がったことにより、音楽売り上げランキングを放送する番組にアニソンがランクインするようになる。アニソンに触れたことが無い人間が、嫌でも耳にしなければいけない。さらにはインターネットの音楽配信は、それ自身情報量を増やしてしまう。ほら、またしても触れる機会が増える。その流れはより多くの人間を二次元世界に引き込む原因となる。もしそうなったらどうだ?この国は二次元の幻想にとらわれてしまう。
それはならない。だから今回、ネットで話題になったにもかかわらずそう言った結果を生んでしまったのは抑止力が原因だ。強いては地球自身の抑止力だろうが、実際は霊長類の抑止力だろう。日本のこうした流れが百年も経てば全世界を覆い尽くす可能性だって否定できない。そうなれば地球という現実世界でありながら地球上の霊長類は地に足が付いていないことになる。霊長類としての存在そのものに意味が無くなれば最後には抑止力も無くなり、人間は死に絶えるだろうな。あってはいけないことだ。今回、その最たる原因となりうるハピマテを世界は排除しようとした。ハピマテが一位に成れなかったのがこれだ」
幹也はわかったようでわかっていない顔をする。
結局吸わないままに終わったタバコを灰皿に捨て、
「もしかしたら今回の件は魔術師協会がやったことかもしれないがな」
いずれにせよ抑止力だが、と橙子は最後にまとめた。



橙子さん、まじめに話しすぎ。
週間が確定したらまた書くか。
感想もあったらどうぞ。